結論:募集の段階で、業務内容・賃金・就業場所などを明示する
確認日は2026-10-23です。法令と厚生労働省のリーフレットで確かめられたことは次の4点です。
- 職業安定法第5条の3は、労働者の募集を行う者に、募集に当たって、応募者に従事すべき業務の内容と賃金、労働時間その他の労働条件を明示するよう定めています。
- 2024年4月1日施行の改正職業安定法施行規則で、明示する項目に「従事すべき業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」「有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)」が加わりました。
- 求人票や募集要項には、少なくともリーフレットの一覧の労働条件を載せます。広告に書ききれないやむを得ない場合を除き、一部を後から示すことはできません。
- これらは労働者を募集する事業主一般への定めで、リーフレットに美容業を名指しした記載はありません。
入社が決まったあと、労働契約を結ぶときの明示は美容師になるまでの流れ(入社時の労働条件の確認項目)で扱っています。募集時の明示は、これとは別の段階の定めです。このページは個別の求人票が適法かどうかは判断しません。
求人票・募集広告に最低限書く労働条件
| 項目 | リーフレットの記載例(要旨) |
|---|---|
| 業務内容 | 雇入れ直後の業務と、変更の範囲の両方を書く |
| 契約期間 | 期間の定めの有無、期間の定めがあるときは契約の更新の有無と判断の基準、更新上限の有無 |
| 試用期間 | 「試用期間あり(3か月)」のように書く |
| 就業場所 | 雇入れ直後の就業場所と、変更の範囲の両方を書く |
| 就業時間・休憩時間・休日 | 始業・終業の時刻、休憩時間、休日を書く |
| 時間外労働 | 時間外労働の有無(例:月平均20時間)。裁量労働制を採用している場合は、その旨とみなし時間を書く |
| 賃金 | 月給の額など。試用期間中に賃金が変わるならその額。いわゆる固定残業代を採用するときは、基本給、手当の額と対象の時間数、超えた分の割増賃金を追加で支給することを書く |
| 加入保険 | 雇用保険、労災保険、厚生年金、健康保険のうち加入するもの |
| 受動喫煙防止措置 | 「屋内禁煙」のように書く |
| 募集者の氏名または名称 | 募集を行う事業主の名称。派遣労働者として雇用する場合のみ、「雇用形態:派遣労働者」と示す |
リーフレットは、募集広告など募集に関する情報を提供する場合、掲載した時点を明示するなどして、正確かつ最新の内容に保つ義務があるとしています。
2024年4月に追加された3項目の書き方
| 追加された項目 | リーフレットの説明と記載例 |
|---|---|
| 従事すべき業務の変更の範囲 | 雇入れ直後にとどまらず、将来の配置転換など今後の見込みを含めた、契約期間中の変更の範囲。例:(雇入れ直後)法人営業 (変更の範囲)製造業務を除く当社業務全般 |
| 就業場所の変更の範囲 | 同じく契約期間中の変更の範囲。例:(雇入れ直後)渋谷営業所 (変更の範囲)都内23区内の営業所。在籍出向を命じることがあり、出向先の就業場所や業務が変更の範囲を超える場合は、その旨を明示する |
| 有期労働契約を更新する場合の基準 | 「契約期間満了時の業務量、勤務成績により判断」のように具体的に書くことが望ましく、「諸般の事情を総合的に考慮して判断する」のような抽象的な書き方は避ける。更新上限があるときは「通算契約期間は4年を上限とする」「契約の更新回数は3回を上限とする」のように書く |
リーフレットには、美容所の店舗や業務に当てはめた記載例はありません。複数の店舗を持つ事業主が店舗間の異動や、施術以外の業務(受付・物販・店舗管理など)への配置を予定する場合に何をどう書くかは、上の考え方に沿って事業主が決めます。
明示するタイミング
| 場面 | リーフレットの記載 |
|---|---|
| ハローワークへの求人の申込み、自社ホームページでの募集、求人広告の掲載 | 求人票や募集要項で、少なくとも上の労働条件を明示する |
| 広告のスペースが足りないなど、やむを得ない場合 | 「詳細は面談時にお伝えします」などと付したうえで、一部を別のタイミングで明示できる。原則、面接などで求職者と最初に接触する時点までに、全ての労働条件を明示する |
| 面接などの過程で、当初の明示から変更になる場合 | 変更の内容を、速やかに明示する |
| 労働契約を結ぶとき | 労働基準法に基づき、労働条件通知書などで明示する。ここでも、2024年4月1日以降、同様に明示する項目が追加されている |
確認できたことと、できていないこと
| 論点 | 状態 | 根拠 |
|---|---|---|
| 募集時の明示義務(職業安定法第5条の3) | 確認できた | e-Gov法令検索 |
| 最低限明示する項目と、2024年4月追加の3項目 | 確認できた | 厚生労働省リーフレット(求人企業向け) |
| 明示を怠ったときの行政の対応・罰則 | 未確認 | 今回確認した資料に記載がない |
| 業務委託・面貸しの人の募集にも同じ定めが及ぶか | 未確認 | リーフレットは「労働者の募集」を対象としており、労働者に当たるかは個別に判断される |
| 美容業を名指しした明示項目の定め | 未確認 | リーフレットに美容業の記載はない |
| 個別の求人票が適法かどうかの判断 | 判断しない | 所管の労働局・ハローワークが扱うため |
参照した公式資料
確認日2026-10-23。職業安定法第5条の3の条文と、厚生労働省の求人企業向けリーフレット(2024年4月1日施行の改正)を原文で確認しました。法令は改正されることがあるため、実際に求人を出す前に、ハローワークや管轄の労働局で最新の内容を確かめてください。
関連ページ
- 入社時(労働契約の締結時)の労働条件の確認項目:美容師になるまでの流れ(入社時の労働条件の確認項目)
- 残業を前提にした募集をするとき:美容所の残業・休日・深夜の割増賃金と36協定
- 外国人の募集・雇用:外国人の在留資格と美容師免許
- 開業の準備全体:開業前の確認チェックリスト
よくある質問
美容室の求人票に最低限書かなければならない労働条件は何ですか?
厚生労働省のリーフレットは、業務内容、契約期間、試用期間、就業場所、就業時間、休憩時間、休日、時間外労働、賃金、加入保険、受動喫煙防止措置、募集者の氏名または名称を、最低限明示する労働条件として挙げています。これは美容業に限った定めではなく、労働者を募集する事業主一般への定めです。
2024年4月から求人票に追加された項目は何ですか?
従事すべき業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)の3項目です。いずれも雇入れ直後だけでなく、契約期間中の将来の変更の見込みを含めて明示します。
求人広告に書ききれないときは、後から伝えてもよいですか?
リーフレットによると、広告のスペースが足りないなどやむを得ない場合は「詳細は面談時にお伝えします」などと付したうえで、労働条件の一部を別のタイミングで明示できます。この場合も、原則として面接などで求職者と最初に接触する時点までに全ての労働条件を明示する必要があります。