結論: 免許前の学生・見習いがカットモデルに施術してよいと認める通知や条文は、確認できていません。一方で、免許のない人の美容の業は第6条が禁じ、実地習練中の者が美容の業を行うことは第6条違反とされています。分かれ目は、施術が「業」に当たるかどうかです。

場面確認できたこと(本文の根拠)
反復継続の意思をもって施術する「業」に当たりえます。厚労省は有料・無料を問わないと説明しています(確認できた記述2)
実地習練中の者が、美容の業を行う美容師法第6条に違反するとされています(確認できた記述3、平成11年生衛発第1391号)
反復継続の意思なく一度だけ施術する可否を直接述べた資料は確認できていません。断定しません(よくある質問)
カットモデル・練習台への施術そのもの名指しした通知・Q&Aは確認できていません。迷うときは保健所の窓口へ

カットモデルを名指しした通知は、確認できていない

美容師の免許を受ける前の学生や見習いが、カットモデルや練習台の人に施術してよいかは、よく聞かれる疑問です。しかし、厚生労働省の通知・法令の中で「カットモデル」「練習台」を名指しして可否を述べたものは、今回確認できませんでした(2026-10-09確認、厚生労働省「美容師法の概要」と上記の通知2本、e-Gov法令検索)。そこでこのページでは、確認できた3つの記述だけを、原文のまま並べます。免許前の実習の扱い全般は実地習練(インターン)の扱い、サロンでの補助作業は無免許アシスタントの作業範囲にあります。

確認できた記述1: 第6条は「美容を業としてはならない」

美容師法第6条は「美容師でなければ、美容を業としてはならない」と定めています。例外として免許前の練習を認める文言は、この条文にはありません。違反した人には、第18条第1号で30万円以下の罰金があります(罰則の対応表)。

確認できた記述2: 厚労省は「業」を反復継続の意思、有料・無料は問わないと説明

美容師の免許を持たないものは美容を業として行うことはできない。なお、業とは反復継続の意思をもって行うことで、有料・無料は問わない。(厚生労働省「美容師法の概要」)

出典: 厚生労働省「美容師法の概要」

この説明から読み取れるのは、報酬の有無だけでは「業」かどうかが決まらないことです。一方で、カットモデルへの無償の練習がこの説明に当たるかどうかは、この説明だけでは決まりません。

確認できた記述3: 実地習練中の者の施術は第6条違反とされている

平成11年9月28日の生衛発第1391号(厚生省生活衛生局長通知「美容所等における無免許者の業務に関する指導の徹底について」)には、次の記述があります。

美容師の資格のない者又は実地習練中である者が美容師と同様の美容の業を行えるものではないことは周知のとおりである。…実地習練中である者が美容の業を行っている事例が確認されたところであるが、このような行為は美容師法第六条に違反するのみならず、利用者の利益の擁護に反し、美容師の社会的信頼を著しく損ねるものである。

出典: 平成11年9月28日 生衛発第1391号(厚生労働省 法令等データベース)

同通知は、違反があった場合に美容所の閉鎖命令や罰則の対象とすること、免許を与えないことを検討する方針も述べています。この通知が扱っているのは、美容所で実地習練中の者が美容の業を行っていた事例です。カットモデルを使った練習会そのものを扱った通知ではありません。

確認できた範囲の整理

論点確認できたこと確認できていないこと
免許がない人の美容の業第6条が禁止(第18条第1号に罰金)免許前の練習を例外とする文言は条文に見当たらない
「業」の意味反復継続の意思。有料・無料は問わない(厚労省)カットモデルへの無償施術が当たるかの個別の扱い
実地習練中の者美容の業を行えば第6条違反(平成11年生衛発第1391号)養成施設の授業としての実習の扱い
カットモデル・練習台―名指しした通知・Q&A

個別の場面が違反に当たるかどうかは、反復継続の意思などの事情によるため、このページでは断定しません。迷うときは、所在地の保健所(生活衛生担当)の窓口に確かめてください。無償で髪を切る隣の場面として、寄付用の髪を切るカットはヘアドネーション(髪の寄付)のカットと美容所・美容師免許の扱いで扱っています。

参照した公式資料

確認日: 2026-10-09。美容師法第3条・第6条・第18条を確認。

よくある質問

カットモデルに無料で施術する練習は、「業として」に当たりませんか?

厚生労働省の「美容師法の概要」は、業とは反復継続の意思をもって行うことで、有料・無料は問わないと説明しています。無料であることだけで「業」に当たらないとは、この説明からは言えません。ただし、カットモデルへの施術がこれに当たるかを個別に扱った通知は、今回確認できていません。個別の場面は、都道府県などの保健所の窓口に確かめてください。

免許のない人が反復継続の意思なく一度だけ施術した場合は、第6条に違反しませんか?

第6条は「美容師でなければ、美容を業としてはならない」と定めています。「業」の説明は反復継続の意思が要点で、1回かどうかは、その意思の有無とあわせて見る必要があります。確認した資料には、1回限りの施術の可否を直接述べたものはありません。このため、このページでは可否を断定しません。

実地習練中の人が、練習としてお客様に施術してもよいですか?

平成11年9月28日の生衛発第1391号通知は、実地習練中の者が美容の業を行っている事例を挙げ、このような行為は美容師法第6条に違反するとしています。同通知は、美容師の資格のない者や実地習練中の者が美容師と同様の美容の業を行えるものではないとも述べています。

美容師法で、第6条に違反するとどうなりますか?

第18条第1号は、第6条に違反した人を30万円以下の罰金に処すると定めています。第3条第2項第2号は、第6条に違反した人には免許を与えないことがあると定めています。

回答は、このページ本文の原文確認の範囲だけに基づきます。確認日: 2026-10-09。根拠: 美容師法第3条・第6条・第18条、厚生労働省「美容師法の概要」、平成11年生衛発第1391号。