違反の種類ごとの処分・罰則の対応表

「無免許で施術する」「出張で施術する」「医行為をする」は、いずれも違反になりえますが、条文上の結果は同じではありません。美容師法と医師法の条文を、違反の種類ごとに並べると次のとおりです。

違反の種類禁止している条文刑罰(条文)行政処分(条文)
美容師免許を持たずに美容を業とする美容師法第6条30万円以下の罰金(第18条第1号)この表の範囲では規定なし
美容師が美容所以外の場所で美容の業を行う(政令で定める特別の事情がある場合を除く)美容師法第7条第18条の各号に第7条は挙げられていない都道府県知事が期間を定めて業務を停止できる(第10条第2項)
美容の業を行うときに講ずべき措置(布片・器具の清潔保持、客ごとの取替え・消毒など)に違反する美容師法第8条第18条の各号に第8条は挙げられていない都道府県知事が期間を定めて業務を停止できる(第10条第2項)
業務停止処分に違反する美容師法第10条第2項第18条の各号に挙げられていない厚生労働大臣が免許を取り消すことができる(第10条第3項)
医師でないのに医業を行う医師法第17条3年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、またはその併科(医師法第31条第1項第1号)この表の範囲では規定なし

表の「規定なし」「挙げられていない」は、本ページが確認した条文の範囲についてのものです。ほかの法令(都道府県の条例など)の定めまでは確認していません。

美容師法第18条:罰金30万円以下になる5つの違反

美容師法第18条は、次のいずれかに該当する者を30万円以下の罰金に処するとしています。

第十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第六条の規定に違反した者
二 第十一条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
三 第十二条の規定に違反して美容所を使用した者
四 第十四条第一項の規定による当該職員の検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
五 第十五条の規定による美容所の閉鎖処分に違反した者

美容師個人の施術との関係で条文に出てくるのは第1号(無免許営業)です。第2号から第5号は、美容所の届出・使用・検査・閉鎖処分に関する規定で、美容所を開設する側の義務に当たります。第7条(美容所以外の場所での営業)と第8条(衛生措置)は、第18条の各号には入っていません。この2つに違反したときの条文上の結果は、刑罰ではなく、第10条第2項の業務停止です。

第19条:従業者の違反と、開設者への両罰規定

第十九条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前条第二号から第五号までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の刑を科する。

両罰規定の対象は、第18条の第2号から第5号(届出・美容所の使用・検査・閉鎖処分)に限られています。第1号(無免許営業)は、この条文の対象に挙がっていません。

医師法第17条・第31条:医行為に当たる施術との境界

美容師免許があっても、医行為に当たる施術は美容師の業務の範囲ではありません。医師法は次のように定めています。

第十七条 医師でなければ、医業をなしてはならない。
第三十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第十七条の規定に違反した者
二 虚偽又は不正の事実に基づいて医師免許を受けた者
2 前項第一号の罪を犯した者が、医師又はこれに類似した名称を用いたものであるときは、三年以下の拘禁刑若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

美容師法第18条の罰金の上限は30万円、医師法第31条第1項は3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金で、上限が異なります。どの施術が医行為として通知で示されているかは、施術ごとのページで原文を確認できます。

出張・訪問での施術は、罰則ではなく業務停止の問題になる

美容所以外での施術が認められる場合(政令で定める特別の事情)は、出張・訪問美容の対象範囲で通知と政令の原文を整理しています。第7条に違反した場合の処分の手続き、厚生労働省の懲戒処分等の基準、免許取消・再免許との関係は、美容師の業務停止・免許取消の基準にまとめています。

免許を持たない人の業務の範囲は施術×職種 境界マップ、免許を与えないことがある場合は美容師免許の欠格事由で整理しています。

この表でわからないこと

一次情報: 美容師法(昭和32年法律第163号)第6条・第7条・第8条・第10条・第18条・第19条、医師法(昭和23年法律第201号)第17条・第31条(いずれも美容師法・医師法のe-Gov法令検索)。原文をいずれも直接取得・確認(確認日2026-09-29)。