医師法第17条の対象とされる3つの施術(脱毛・ピーリング・HIFU)
美容師法第2条第1項は、「美容」を「パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすることをいう」と定めています。一方で、美容室やサロンのメニューに近い施術のうち、厚生労働省の通知が「医師免許を有しない者が業として行えば医師法第17条に違反する」と名指ししているものがあります。医師法第17条は「医師でなければ、医業をなしてはならない。」と定めています。
| 施術 | 通知が対象とする行為 | 根拠となる通知 |
|---|---|---|
| レーザー等の光による脱毛 | レーザー光線又はその他の強力なエネルギーを有する光線を毛根部分に照射し、毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する行為(機器が医療用か否かを問わない) | 平成13年11月8日 医政医発第105号 第1(1) |
| ケミカルピーリング | 酸等の化学薬品を皮膚に塗布して、しわ、しみ等に対して表皮剥離を行う行為 | 平成13年11月8日 医政医発第105号 第1(3) |
| HIFU(ハイフ) | HIFUを人体に照射し、細胞に熱凝固を起こさせ得る行為(機器が医療用か否かを問わない) | 令和6年6月7日 医政医発0607第1号 第1 |
3つとも、令和7年8月15日の医政局長通知(医政発0815第21号)で、無資格者が業として行えば医師法第17条に違反する「違法な例」として改めて挙げられています。美容師免許は医師免許ではないため、美容師がこれらを業として行うことは、通知の文言上この対象に含まれます。
平成13年医政医発第105号「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」の原文
平成13年11月8日に、厚生労働省医政局医事課長から各都道府県衛生主管部(局)長あてに出された通知です。医師免許を有しない者が行った脱毛行為等が原因で身体に被害を受けた事例が報告されていることを受け、平成12年7月13日付け医事第68号「医師法上の疑義について」で示していた見解を再度徹底するとしています。
以下に示す行為は、医師が行うのでなければ保健衛生上危害の生ずるおそれのある行為であり、医師免許を有しない者が業として行えば医師法第17条に違反すること。
(1) 用いる機器が医療用であるか否かを問わず、レーザー光線又はその他の強力なエネルギーを有する光線を毛根部分に照射し、毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する行為
(2) 針先に色素を付けながら、皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為
(3) 酸等の化学薬品を皮膚に塗布して、しわ、しみ等に対して表皮剥離を行う行為
(2)の「皮膚に色素を入れる行為」は、いわゆるアートメイクに当たるものです。アートメイクについては、その後の通知の流れをアートメイクの合法性のページで整理しています。
同じ通知の第2は、違反行為の情報に接した場合、実態を調査したうえで行為の速やかな停止を勧告するなどの指導を行い、指導しても改善がみられないなど悪質な場合は、刑事訴訟法第239条に基づく告発を念頭に置いて警察と連携するよう求めています。
令和6年医政医発0607第1号「医師免許を有しない者が行った高密度焦点式超音波を用いた施術について」の原文
令和6年6月7日に厚生労働省医政局医事課長が出した通知です。消費者安全調査委員会の報告書「エステサロン等でのHIFU(ハイフ)による事故(令和5年3月29日)」で、医師免許を有しない者のHIFU施術が原因となって急性白内障や神経麻痺等の被害を受けた事例が相当数あると報告されたことを受けたものです。
用いる機器が医療用であるか否かを問わず、HIFUを人体に照射し、細胞に熱凝固(熱傷、急性白内障、神経障害等の合併症のみならず、HIFU施術が目的とする顔・体の引き締めやシワ改善等も含む。)を起こさせ得る行為(以下「本行為」という。)は、医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為であり、医師免許を有しない者が業として行えば医師法第17条に違反すること。
さらに第2で、医師が本行為を行う場合も、医療法第1条の2第2項に規定する医療提供施設で行うこととしています。
令和7年医政発0815第21号「美容医療に関する取扱いについて」での位置づけ
令和7年8月15日の医政局長通知は、「医業」を次のように説明しています。
ここにいう「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うことである。
そのうえで「違法な例」として、脱毛行為等(平成13年医政医発第105号で示した行為)、いわゆるアートメイク(令和5年7月3日医政医発0703第5号で示した行為)、HIFU施術(令和6年6月7日医政医発0607第1号で示した行為)等の医行為を挙げ、無資格者が業として行えば医師法第17条に違反するとしています。また、看護師等が医師の指示なくこれらの医行為を行うことも、医師法第17条や保健師助産師看護師法第37条に違反するとしています。
実務上のポイント
- 通知が対象とするのは、光線で毛乳頭・皮脂腺開口部等を「破壊する」脱毛、化学薬品で「表皮剥離」を行うピーリング、細胞に「熱凝固を起こさせ得る」HIFU照射です。機器が医療用かどうかは問わないと明記されています(脱毛・HIFU)。
- 令和7年の通知は、医業を「反復継続する意思をもって行うこと」と説明しています。
- 美容師免許で行える施術の範囲や、他の施術との境界は施術×職種 境界マップで一覧にしています。
- 自分が扱う機器・薬剤・施術内容が上の行為に当たるかどうかの判断は、本サイトでは行いません。保健所・医療機関・弁護士等の専門家にご確認ください。
一次情報: 厚生労働省「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」(平成13年11月8日 医政医発第105号)、「医師免許を有しない者が行った高密度焦点式超音波を用いた施術について」(令和6年6月7日 医政医発0607第1号)、「美容医療に関する取扱いについて」(令和7年8月15日 医政発0815第21号)、医師法第17条・美容師法第2条第1項(e-Gov法令検索)。原文をいずれも直接取得・確認(確認日2026-09-28)。詳細な出典URLはdocs/SOURCE_LEDGER.md参照。