美容師免許を受けるための要件と、免許を与えないことがある3つの場合(第3条)

美容師法第3条1項は、免許を受けられる者を次のように定めています。

第三条 美容師試験に合格した者は、厚生労働大臣の免許を受けて美容師になることができる。

一方、同条2項は、次の3号のいずれかに該当する者には免許を「与えないことがある」と定めています。試験に合格しても、必ず免許が与えられるとは限らないということです。

号該当する場合(条文の要旨)
第1号心身の障害により美容師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
第2号第六条の規定に違反した者
第3号第十条第三項の規定による免許の取消処分を受けた者

条文の書き方は「与えないことがある」であり、「与えない」(絶対的な欠格)ではありません。該当しても免許が与えられる余地がある書き方になっています。

第1号: 心身の障害の基準(施行規則第1条の2・1条の3)

第3条2項1号がいう「厚生労働省令で定めるもの」は、美容師法施行規則第1条の2が次のとおり具体的に定めています。

(法第三条第二項第一号の厚生労働省令で定める者)第一条の二 法第三条第二項第一号の厚生労働省令で定める者は、精神の機能の障害により美容師の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。

特定の病名や障害の種類そのものではなく、「業務に必要な認知・判断・意思疎通を適切に行えるかどうか」という機能面の基準です。さらに、同施行規則第1条の3は、この基準に該当すると認められる場合でも、免許を与えるかどうかの決定にあたって次の考慮を厚生労働大臣に義務づけています。

(治療等の考慮)第一条の三 厚生労働大臣は、美容師の免許の申請を行った者が前条に規定する者に該当すると認める場合において、当該者に免許を与えるかどうかを決定するときは、当該者が現に受けている治療等により障害の程度が軽減している状況を考慮しなければならない。

加えて、第1号に該当すると認めて免許を与えないこととする場合、美容師法第5条の2の2は、事前の通知と本人が求めた場合の意見聴取を義務づけています。

(意見の聴取)第五条の二の二 厚生労働大臣は、美容師の免許を申請した者について、第三条第二項第一号に掲げる者に該当すると認め、同項の規定により美容師の免許を与えないこととするときは、あらかじめ、当該申請者にその旨を通知し、その求めがあつたときは、厚生労働大臣の指定する職員にその意見を聴取させなければならない。

第2号: 第六条(無免許営業の禁止)に違反した場合

第3条2項2号が参照する第六条は、次のとおりです。

(無免許営業の禁止)第六条 美容師でなければ、美容を業としてはならない。

美容師免許を持たずに美容を業として行ったことがある者は、この第2号に該当し得るということです。

第3号: 業務停止処分に違反して免許を取り消された場合

第3条2項3号が参照する第十条3項は、次のとおりです。

3 厚生労働大臣は、美容師が前項の規定による業務の停止処分に違反したときは、その免許を取り消すことができる。

つまり、単に業務停止処分を受けただけでは第3号には該当しません。業務停止処分の期間中に業務を行うなど、その処分に違反して免許を取り消された場合が対象です。業務停止・免許取消の要件そのもの(第10条1項〜4項、第7条・第8条との関係、再免許との関係)は、美容師の業務停止・免許取消の基準で整理しています。

実務上のポイント

一次情報: 美容師法(昭和32年法律第163号)第3条・第5条の2の2・第6条・第10条3項(厚生労働省法令等データベース、e-Gov法令検索)、美容師法施行規則(平成10年厚生省令第7号)第1条の2・第1条の3(厚生労働省法令等データベース)。原文をいずれも直接取得・確認、独立検証済み(確認日2026-09-27)。