顔そりは理容、化粧は美容として条文に書かれている
理容師法と美容師法は、それぞれの仕事(理容・美容)を次のように定めています。顔そりという言葉が出てくるのは、理容師法のほうだけです。
| 法律 | 条文の書き方 |
|---|---|
| 理容師法 第1条の2第1項 | 「理容とは、頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整えることをいう」 |
| 理容師法 第6条 | 「理容師の免許を受けた者でなければ、理容を業としてはならない」 |
| 美容師法 第2条第1項 | 「美容」とは「パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすることをいう」 |
つまり条文だけを読むと、顔そりは理容の例として挙げられ、美容の例には入っていません。一方で、化粧は美容の例として明記されています。化粧のときに顔のうぶ毛をそる場合をどう扱うかは、条文では決まらず、通知で示されています。
昭和23年の通知は、化粧に附随した軽い程度の顔そりを認めている
昭和23年12月8日に、厚生省公衆衛生局長が各都道府県知事あてに出した通知「理容師法の運用に関する件」(衛発第382号)に、次の記載があります。経済産業省の発表資料(平成30年7月4日)が、この通知の抜粋を載せています。
三 化粧に附随した軽い程度の「顔そり」は化粧の一部として美容師がこれを行ってもさしつかえない。
この文には、条件が2つあります。1つは、化粧に附随していること(化粧とは別に、顔そりだけを行うものではないこと)。もう1つは、軽い程度であることです。どこからが「軽い程度」を超えるのかを数値や部位で示した記載は、本サイトが確認した資料にはありません。
平成30年の回答は、軽い程度を超えた顔そりを理容としている
平成30年7月4日、経済産業省は、産業競争力強化法に基づく「グレーゾーン解消制度」(新しい事業が規制の対象になるかを、事業者があらかじめ国に照会できる制度)による回答を発表しました。美容師による顔そりサービスが題材です。
| 項目 | 発表資料の記載 |
|---|---|
| 照会した事業 | 美容所で美容師を雇用し、女性客に化粧とそれに伴ううぶ毛剃り(頬や額を含む顔全体)を行わせるサービス。美容師法第2条の「美容」に当たり、美容師が業として行えるかを照会 |
| 厚生労働省の回答(1) | 照会の事業は「メイク&シェービングサロン」と謳い「シェービング」を強調して行うもの。「軽い程度の顔そり」を超えたサービスを求める客を誘引し、その結果「軽い程度の顔そり」を超えた顔そりが提供される可能性がある |
| 厚生労働省の回答(2) | 提供されるサービスが「軽い程度の顔そり」を超えた場合には、その行為は理容に該当する |
回答の趣旨は、化粧に伴ううぶ毛そり自体を否定するものではなく、シェービングを前面に出して軽い程度を超える顔そりを呼び込む形が理容に当たりうる、というものです。理容に当たる場合は、理容師法第6条により、理容師の免許がなければ業として行えません。
厚生労働省が審議会に出した資料「理容師・美容師制度の概要等について」の業務範囲の表にも、顔そりの欄に「化粧に付随した軽い程度の『顔そり』は化粧の一部として美容師がこれを行っても差し支えない」という注記があります。国の資料でも、同じ扱いが示されています。
線引きの整理
| 場面 | 通知・回答の記載 | 根拠 |
|---|---|---|
| 化粧に附随した軽い程度の顔そり | 化粧の一部として美容師が行ってもさしつかえない | 昭和23年12月8日 衛発第382号 |
| 軽い程度を超える顔そり | 理容に該当する | 平成30年7月4日 厚生労働省の回答(経済産業省の発表資料) |
| シェービングを強調した「メイク&シェービング」の売り方 | 軽い程度を超える顔そりが提供される可能性があるとされた | 同上 |
| まゆ毛をそること | 名指しした国の通知は確認できていない(未確認) | — |
この記載からわからないこと
- 「軽い程度」の具体的な基準(そる範囲・回数・時間など)は、確認した資料に書かれていません。
- まゆ毛そり、えり足のそり、背中のそりなどが軽い程度に入るかどうかは、確認できた国の通知にはありません。まゆ毛のデザイン・着色は施術×職種 境界マップに、自治体の公表をまとめています。
- 回答は特定の事業者の照会に対するものです。ほかの施術にそのまま当てはまると、本サイトが断定することはしません。
- 理容師と美容師の業務範囲の全体は理容師と美容師の業務範囲の違い、免許のない人が美容や理容を行った場合の罰則は罰則の対応表で確認できます。通知の全体は通知の一覧にあります。
- 自分の施術がこの範囲に入るかどうかの判断は、本サイトでは行いません。保健所などにご確認ください。
よくある質問
美容師は顔そりを行ってよいのですか?
昭和23年12月8日の厚生省公衆衛生局長通知(衛発第382号)に、化粧に附随した軽い程度の「顔そり」は化粧の一部として美容師がこれを行ってもさしつかえない、と書かれています。軽い程度を超える顔そりについては、平成30年の厚生労働省の見解が、理容に該当すると示しています。個別の施術が当たるかどうかの判断は、本サイトでは行いません。
「軽い程度」を超えると、どうなるのですか?
平成30年7月4日の経済産業省の発表によると、厚生労働省は、提供されるサービスが「軽い程度の顔そり」を超えた場合には、その行為は理容に該当する、と回答しました。理容を業として行うには、理容師法第6条により理容師の免許が必要です。
まゆ毛をそることは、美容師にできますか?
まゆ毛そりを名指しした国の通知は、本サイトでは確認できていません。そのため、できるともできないとも書きません。まゆ毛のデザイン・着色については、大阪府とさいたま市が美容師免許が必要と公表しており、施術×職種 境界マップで整理しています。
一次情報: e-Gov法令検索「理容師法」第1条の2・第6条、「美容師法」第2条(取得 2026-10-07)。昭和23年12月8日 厚生省公衆衛生局長通知「理容師法の運用に関する件」(衛発第382号)の抜粋と、平成30年7月4日の厚生労働省の回答は、経済産業省「グレーゾーン解消制度に係る事業者からの照会に対し回答がありました ~美容師による顔そりサービスの取り扱いについて~」(https://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/kyousouryoku_kyouka/shinjigyo-kaitakuseidosuishin/press/180704_press.pdf)の記載で確認。厚生労働省「理容師・美容師制度の概要等について 参考資料」(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000113247.pdf)の業務範囲の表の注記も確認。通知の原本は確認できていないため、本文の引用は発表資料の抜粋によります。確認日: 2026-10-07。