義務を課される3者(美容師・開設者・管理美容師)

美容所での衛生・届出・管理の義務は、課される相手によって3つに分けて読めます。施術をする美容師、美容所を開いた人(開設者)、衛生管理を任される管理美容師です。「美容所」とは、美容を業として行う場所のことです。

下の表は、条文ごとに「だれが何をするのか」を並べたものです。美容師法と施行規則は、2026-10-06にe-Gov法令検索で取得した原文で確かめました。

美容師が守る義務(施術のたび)

義務内容根拠詳しい解説
布片と器具を清潔に保つ皮ふに接する布片と、皮ふに接する器具を清潔に保つ法第8条第1号器具の消毒方法
客1人ごとの取替えと消毒皮ふに接する布片は客1人ごとに取り替える。皮ふに接する器具は客1人ごとに消毒する法第8条第2号器具の消毒方法
「皮ふに接する器具」の範囲クリッパー、はさみ、くし、刷毛、ふけ取り、かみそり、そのほか皮膚に直接ふれて使う器具施行規則第24条器具の消毒方法
消毒の方法器具を十分に洗ってから、規則が定める方法で消毒する。かみそり(頭髪を切るだけに使うものを除く)と、血液が付いた(または付いた疑いのある)器具は、煮沸(沸騰後2分以上)、エタノール水溶液に10分以上、次亜塩素酸ナトリウム0.1%以上の水溶液に10分以上のどれか。それ以外の器具は、紫外線の照射(20分以上)、湿熱(80度超に10分以上)、消毒液への浸漬など8つの方法から選べる施行規則第25条器具の消毒方法
条例で定める衛生上の措置前の3つのほかに、都道府県が条例で定める衛生上必要な措置も守る。条例の中身は都道府県ごとに違う法第8条第3号条例は未確認(下の「掲示」の項を参照)

通知で示されている衛生管理の目安は、理容所・美容所の衛生管理要領で扱っています。

開設者が守る義務(開く前と開いたあと)

義務内容根拠詳しい解説
開設前の届出美容所の位置、構造設備、管理美容師などの従業者の氏名その他を、あらかじめ都道府県知事に届け出る法第11条第1項美容所の開設の届出
変更・廃止の届出届け出た事項が変わったとき、または美容所をやめたときは、すみやかに知事に届け出る法第11条第2項免許と美容所の手続き一覧
検査と確認を受けてから使う構造設備について知事の検査を受け、必要な措置を講じるのに適するという確認を受けた後でなければ、美容所を使えない法第12条美容所の開設の届出
管理美容師を置く美容師である従業者が常時2人以上いる美容所では、美容所ごとに管理美容師を置く。開設者自身が管理美容師になれる人であれば、自分が主として管理する1つの美容所に限り、自ら管理美容師になれる法第12条の3第1項美容所の開設の届出
美容所を常に清潔に保つ規則が定める措置は3つ。床と腰板に水をしみこませない材料(コンクリート、タイル、リノリューム、板など)を使う。洗場は流水装置にする。ふた付きの汚物箱と毛髪箱を備える法第13条第1号、施行規則第26条美容所の開設の届出
消毒設備を設ける美容所に消毒設備を設ける法第13条第2号器具の消毒方法
採光・照明・換気を十分にする美容師が直接作業をする作業面の照度を100ルクス以上にする。美容所内の空気1リットル中の炭酸ガスを5立方センチメートル以下に保つ法第13条第3号、施行規則第27条美容所の開設の届出
条例で定める衛生上の措置都道府県が条例で定める衛生上必要な措置も守る法第13条第4号条例は未確認

管理美容師になれる人

管理美容師になれるのは、美容師の免許を受けたあと3年以上美容の業務に従事し、厚生労働大臣の定める基準に従って都道府県知事が指定した講習会の課程を修了した人です(法第12条の3第2項)。講習会の基準は施行規則第23条にあり、科目と時間数、教える人の条件、修了の認定、修了証書の交付が定められています。

義務を守らなかったとき

都道府県知事は、必要があると認めるとき、職員に美容所へ立ち入らせて、美容師の衛生措置と開設者の美容所の措置の実施状況を検査させることができます(法第14条第1項)。守らなかったときの結果は、義務の種類によって、業務停止、閉鎖命令、罰金に分かれます。

違反の内容条文に書かれた結果根拠
美容師が、布片・器具の清潔保持、取替え、消毒の措置を講じない知事が期間を定めて業務を停止できる。罰金の対象には挙げられていない法第10条第2項、第18条
美容師が上の措置を講じない(開設者への影響)知事が期間を定めて美容所の閉鎖を命じられる。ただし、開設者が違反を防ぐために相当の注意と監督を尽くしていたときは除く法第15条第2項
開設者が、管理美容師を置かない、または美容所の措置を講じない知事が期間を定めて美容所の閉鎖を命じられる法第15条第1項
開設者が、美容師でない人や業務停止中の美容師に美容を行わせた知事が期間を定めて美容所の閉鎖を命じられる法第15条第1項
届出をしない、または虚偽の届出をした30万円以下の罰金法第18条第2号
検査と確認を受ける前に美容所を使った30万円以下の罰金法第18条第3号
立入検査を拒む、妨げる、避ける30万円以下の罰金法第18条第4号
閉鎖処分に違反した30万円以下の罰金法第18条第5号
従業者などが、業務に関して上の罰金の違反(第2号から第5号)をした行為をした人を罰するほか、開設者(法人または人)にも同じ刑を科す法第19条

刑罰の全体は罰則の対応表、立入検査と閉鎖命令の手順は立入検査と閉鎖命令、業務停止の基準は業務停止・免許取消の基準で確認できます。

掲示の義務の条文上の扱い(法律・施行規則では0件)

美容所内に何かを掲示する義務について、美容師法と施行規則の条文本文を「掲示」の語で検索したところ、該当する条は0件でした(2026-10-06取得のe-Gov法令検索で確認)。

ただし、法第8条第3号と第13条第4号は、衛生上必要な措置を都道府県の条例で定められるとしています。条例で掲示などを求めているかどうかは、このサイトでは確認していません。所在地の都道府県・保健所の案内でご確認ください。

この表で判断しないこと

個々の美容所や施術が義務を満たしているか、違反に当たるかは、このサイトでは判断しません。条例、通知、自治体の運用は、この表に含まれていません。所在地を管轄する保健所・都道府県等にご確認ください。

一次情報: 美容師法(昭和32年法律第163号)第8条・第10条・第11条・第12条・第12条の3・第13条・第14条・第15条・第18条・第19条(e-Gov法令検索、2026-10-06取得)、美容師法施行規則(平成10年厚生省令第7号)第23条〜第27条(e-Gov法令検索、2026-10-06取得)。条文の内容は取得日時点のものです。

次に読むページ