法律が定める「理容」と「美容」の定義
理容師免許と美容師免許は、別々の法律に基づく別の免許です。施術の範囲の出発点になるのは、それぞれの法律が置いている定義です。
| 項目 | 理容師法 | 美容師法 |
|---|---|---|
| 施術の定義 | 第1条の2第1項「理容とは、頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整えることをいう」 | 第2条第1項「美容」とは「パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすることをいう」 |
| 免許のない人が業として行うこと | 第6条「理容師の免許を受けた者でなければ、理容を業としてはならない」 | 第6条「美容師でなければ、美容を業としてはならない」 |
条文に明示されている方法は、理容が「刈込、顔そり」、美容が「パーマネントウエーブ、結髪、化粧」です。ただし、条文の書き方は「〜等の方法により」となっていて、例示にとどまります。この「等」の範囲をどう扱うかを示しているのが、次の厚生労働省通知です。
平成27年7月17日の通知で変わった2点(パーマと男性のカット)
平成27年7月17日付けの厚生労働省健康局長通知(健発0717第2号)は、理容・美容の範囲の運用を改めました。東京都が公表している通知の内容では、次のとおりです。
理容又は美容には、それぞれ理容師法第1条の2第1項又は美容師法第2条第1項に明示する行為のほかこれに準ずる行為が一定の範囲内で含まれるものであり、理容師又は美容師は、それぞれこれらの行為を業として行い得るものであること。
(1)理容師がパーマネントウエーブを行うことは差し支えないこと。
(2)美容師がカッティングを行うことは差し支えないこと。
(3)染毛は、理容師法第1条の2第1項及び美容師法第2条第1項に明示する行為に準ずる行為であるので、理容師又は美容師でなければこれを業として行ってはならないこと。
この通知より前の扱いは、昭和53年12月5日の厚生省環境衛生局長通知(環指第149号)で定められていました。新旧を並べると、次の表のとおりです。
| 施術 | 旧(昭和53年12月5日の通知) | 新(平成27年7月17日の通知) |
|---|---|---|
| 理容師のパーマネントウエーブ | 刈込み等に伴う理容行為の一環として、男子に対して仕上げを目的に行う場合だけ認められ、これ以外は行ってはならない | 理容師がパーマネントウエーブを行うことは差し支えない |
| 美容師のカッティング | パーマネントウエーブ等に伴う美容行為の一環なら、性別を問わず認められる。女性に対するカッティングは、パーマ等との関連を問わず認められる。これ以外は行ってはならない | 美容師がカッティングを行うことは差し支えない |
| 染毛 | 理容師又は美容師でなければ業として行ってはならない | 同じ(理容師又は美容師でなければ業として行ってはならない) |
旧通知では、男性のカットだけを行う美容師は範囲の外に置かれていました。新しい通知では、カッティングもパーマネントウエーブも、性別や他の施術との組み合わせによる制限が書かれていません。同じ日付で、厚生労働省健康局生活衛生課長の通知(健衛発0717第1号)も出されています。
染毛は、どちらかの免許が必要
染毛(髪を染める施術)は、通知が「条文に明示する行為に準ずる行為」と位置づけています。そのため、理容師免許か美容師免許のどちらかを持つ人でなければ、業として行うことはできません。この扱いは旧通知から変わっていません。
「準ずる行為」は一定の範囲内に限られる
新旧どちらの通知も、条文に明示された行為のほかに「これに準ずる行為」が含まれると説明しています。昭和53年の旧通知は、さらに「これらに附随した行為」も含まれるとしていました。どちらも「一定の範囲内で」という限定が付いています。つまり、パーマ・カット・染毛以外の施術が美容の範囲に入るかどうかは、通知の一般的な言い回しだけでは決まりません。個々の施術ごとに根拠を確認する必要があります。
この通知からわからないこと
- 顔そりを美容師が行えるかどうかは、この通知には書かれていません。本サイトでは一次情報で確認できていないため、「未確認」としています。
- まつげエクステンションなど、パーマ・カット・染毛以外の施術は、この通知の対象外です。まつげエクステはまつげエクステの合法性、医師法との境界は脱毛・ピーリング・HIFUと美容師免許で、それぞれの通知を整理しています。
- 免許のない人が美容を行った場合の処分や罰則は、罰則の対応表にまとめています。
- 施術ごとの免許の要否は施術×職種 境界マップ、関連する通知の全体は通知の一覧で確認できます。
- 自分の施術がこの範囲に入るかどうかの判断は、本サイトでは行いません。保健所などにご確認ください。
一次情報: e-Gov法令検索「理容師法」第1条の2・第6条、「美容師法」第2条・第6条。厚生労働省健康局長通知「理容師法及び美容師法の運用について」(平成27年7月17日 健発0717第2号)の内容は東京都保健医療局の公表ページ(https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/hokeniryo/biyoushisejyutu)および福島県の公表ページ(https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045e/riyoushibiyoushi-unyou.html)の記載で確認。旧通知は厚生労働省公表資料「理容師法及び美容師法の運用について」(昭和53年12月5日 環指第149号、https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10907000-Kenkoukyoku-Seikatsueiseika/0000091869.pdf)。確認日: 2026-10-01。