要領にある動物の定め(第3 管理 1 (5))
厚生労働省健康・生活衛生局長通知(令和6年6月26日 健生発0626第6号)に添付された「理容所及び美容所における衛生管理要領」の第3「管理」の1「施設、設備及び器具の管理」には、次の一文があります。
(5) 施設内には、みだりに犬(身体障害者補助犬を除く。)、猫等の動物を入れないこと。
出典: 厚生労働省健康・生活衛生局長通知(令和6年6月26日 健生発0626第6号)に添付の「理容所及び美容所における衛生管理要領」
同じ項目には、施設を1日1回以上清掃すること、作業場内にねずみ及び昆虫が生息しない状態に保つことなど、施設の衛生を保つ定めが並んでいます。動物の定めも、その衛生管理の一つとして置かれています。
原文から読み取れること
| 論点 | 原文でわかること |
|---|---|
| 対象の場所 | 「施設内」とあります。作業場だけに限った書き方ではありません |
| 対象の動物 | 「犬、猫等」とあります。「等」に何が含まれるかは、原文に例示がありません |
| 身体障害者補助犬 | 犬から除かれています。補助犬は、この定めが入れないこととしている動物に含まれません |
| 「みだりに」 | この語の意味を説明した文は、確認した通知の範囲にありません。どの場合が「みだり」にあたるかは、原文だけでは決められません |
この定めの性質と、確認できていないこと
衛生管理要領は、国が自治体に営業者への指導を求める通知の別添です。法律の条文ではありません。美容師法第13条は、衛生上必要な措置の一部を都道府県が条例で定めるとしており、個々の店に適用される基準は、所在地の条例や保健所の運用によって決まります。今回は、都道府県の条例に動物の定めがあるかどうかは確認していません。
そのため、このページは「自分の店でペットを同伴する客を受け入れてよいか」を判断するものではありません。要領の原文が何を定めているかを確かめるためのページです。具体的な運用は、所在地の保健所に確認してください。
補助犬の同伴を断れるか(身体障害者補助犬法第9条)
身体障害者補助犬法(平成14年法律第49号)第9条は、不特定かつ多数の者が利用する施設を管理する者は、身体障害者が施設を利用する場合に身体障害者補助犬を同伴することを拒んではならないと定めています。ただし、補助犬の同伴によって施設に著しい損害が発生し、または施設を利用する他の人が著しい損害を受けるおそれがある場合など、やむを得ない理由があるときは、この限りでないとされています。
美容所が「不特定かつ多数の者が利用する施設」に当たるかどうかや、やむを得ない理由の具体例は、条文からは決められません。このページでは当てはめを行わず、衛生管理要領が補助犬を除いていることと、この条文が同伴を拒むことを原則として禁じていることを並べて示すにとどめます。障害のある客への配慮全体は障害のある客への合理的配慮と補助犬の同伴で確かめられます。
動物を預かる・展示する場合の登録(動物愛護管理法第10条・第46条)
衛生管理要領とは別に、動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)第10条第1項は、動物(哺乳類、鳥類または爬虫類で、畜産農業に係るものなど政令で定める用途のものを除く)の販売、保管、貸出し、訓練、展示(動物との触れ合いの機会の提供を含む)などを「業として行う」ことを第一種動物取扱業とし、営もうとする者は事業所の所在地を管轄する都道府県知事(指定都市は市長)の登録を受けなければならないと定めています。第46条第1号は、この登録を受けずに第一種動物取扱業を営んだ者を100万円以下の罰金としています。
条文に書かれているのは、販売・保管・貸出し・訓練・展示を「業として」行う場合の登録です。美容所が客の動物を預かる、店の動物を客に見せる、といった場合がこの「業として」に当たるかどうかは、条文だけでは決められません。このページでは当てはめを行いません。登録の要否は、所在地の都道府県・指定都市の動物愛護の担当窓口にご確認ください。なお、この条文は動物を店に入れてよいかを定めたものではなく、入れてよいかの手がかりは前の節の衛生管理要領の定めです。美容所そのものの開設手続きは美容所の開設の届出・構造設備の確認・管理美容師にあります。
よくある質問
美容室で動物を預かったり展示したりすると、登録が必要になりますか?
動物愛護管理法第10条第1項は、動物の保管や展示などを業として行う場合に、都道府県知事等の登録(第一種動物取扱業)を求めています。美容所の看板犬や預かりがこの「業として」に当たるかは条文だけでは決められないため、所在地の動物愛護の担当窓口にご確認ください。
美容所に犬や猫を入れてもよいですか?
衛生管理要領の第3「管理」1(5)は、施設内にはみだりに犬(身体障害者補助犬を除く。)、猫等の動物を入れないこととしています。この要領は通知で、個別の店の可否を断定するものではありません。具体的な運用は所在地の保健所にご確認ください。
美容室に犬を入れると違法ですか?罰則はありますか?
衛生管理要領は法律の条文ではなく、国が自治体に営業者への指導を求める通知の別添です。このページでは、要領の動物の定めに違反した場合の罰則は確認していません。都道府県の条例に動物の定めがあるかも確認していないため、違法かどうか、罰則があるかは言い切れません。所在地の保健所にご確認ください。
盲導犬などの身体障害者補助犬は美容所に入れますか?
動物の定めは、括弧書きで身体障害者補助犬を除いています。つまり、この定めが入れないこととしているのは補助犬以外の犬や猫などです。
衛生管理要領の「みだりに」は、どんな場合を指しますか?
確認した通知の範囲には、「みだりに」の意味を説明した文がありません。どの場合がみだりにあたるかは原文だけでは決められないため、所在地の保健所にご確認ください。
動物を入れない定めは、作業場だけが対象ですか?
原文は「施設内」と書いています。同じ項目のねずみ・昆虫の定め(6)は「作業場内」と書かれており、動物の定めは作業場だけに限った書き方ではありません。
参照した公式資料
- 厚生労働省健康・生活衛生局長通知「「理容所及び美容所における衛生管理要領」等の一部改正について」(令和6年6月26日 健生発0626第6号)
- 身体障害者補助犬法 第9条(e-Gov法令検索)
- 動物の愛護及び管理に関する法律 第10条・第46条(e-Gov法令検索)
改正後の要領の第3 管理 1 (5)(6)と照合。補助犬法第9条はe-Gov法令検索のAPIで原文を確認。確認日: 2026-10-21。動物愛護管理法第10条・第46条はe-Gov法令検索のAPIで原文を確認。確認日: 2026-10-31。
次に読むページ
- 障害のある客への配慮や補助犬の同伴を確かめたいとき:障害のある客への合理的配慮と補助犬の同伴
- 器具の消毒など、要領の別の項目を確かめたいとき:器具の消毒方法
- 開設の届出と構造設備の確認の流れ:美容所の開設の届出・構造設備の確認・管理美容師
- 要領の令和6年改正の内容:衛生管理要領の令和6年改正
- 待合所・個室・仕切り席など、構造設備の別の項目:美容室の待合所・個室・仕切り席と構造設備の基準
- 自宅で開く場合の区画:自宅の一部で美容室を開くときの住居との区画・作業室の広さ