開設したあとに必要になる届出は3種類
美容所を開いたあと、届出が要る場面は、条文の上では次の3つに分かれます。いずれも届出先は、美容所の所在地を管轄する都道府県知事、保健所を設置する市の市長、または特別区の区長です(施行規則第20条・第21条)。
| 場面 | 届出の種類 | 根拠 |
|---|---|---|
| 開設時に届け出た事項が変わった | 変更の届出 | 美容師法第11条第2項、施行規則第20条 |
| 美容所をやめた | 廃止の届出 | 美容師法第11条第2項 |
| 店を譲り受けた、相続した、合併・分割で引き継いだ | 開設者の地位の承継の届出 | 美容師法第12条の2、施行規則第21条〜第22条の2 |
開設前の届出と構造設備の確認、管理美容師の要件は美容所の開設の届出で扱っています。このページは、その後の「変える・やめる・引き継ぐ」に絞っています。
届出事項が変わったとき・やめたとき(第11条第2項)
2 美容所の開設者は、前項の規定による届出事項に変更を生じたとき、又はその美容所を廃止したときは、すみやかに都道府県知事に届け出なければならない。
「前項の届出事項」とは、開設時に出す届出の内容のことです。第11条第1項は、美容所の位置、構造設備、管理美容師その他の従業者の氏名その他必要な事項を挙げ、施行規則第19条第1項が9つの記載事項(名称・所在地、開設者の氏名・住所、管理美容師、構造・設備の概要、美容師の氏名・登録番号など)を定めています。これらのどれかが変わると、変更の届出の対象になります。期限は「すみやかに」で、日数の指定は条文にありません。
変更の届出は、変更した旨を書いた届出書を提出して行います。添付書類は次のとおりです(施行規則第20条)。
- 美容師を新しく使う場合、または指定された伝染性疾病に関する事項が変わる場合: その人について、疾病の有無に関する医師の診断書
- 管理美容師を置く、または替える場合: 新しく管理美容師になる人が、法第12条の3第2項の要件(免許取得後3年以上の業務従事と指定講習会の修了)に当てはまることを示す書類
施行規則第20条の原文は次のとおりです。
第二十条 法第十一条第二項に規定する変更の届出は、その旨を記載した届出書を当該美容所所在地の都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長に提出することによって行うものとする。この場合において、その届出が前条第一項第六号に規定する事項の変更又は美容師の新たな使用に係るものであるときは、その者につき、同号に規定する疾病の有無に関する医師の診断書を、その届出が管理美容師の設置又は変更に係るものであるときは、新たに管理美容師となる者が法第十二条の三第二項の規定に該当することを証する書類を添付しなければならない。
廃止の届出については、施行規則に記載事項や添付書類を定めた条はありません(e-Govで施行規則本則を「廃止」で検索して確認しました)。様式や記載内容は、窓口の保健所の案内でご確認ください。
店を譲り受けた・相続した・合併や分割で引き継いだとき(第12条の2)
届出をした美容所の開設者が営業を譲渡したとき、または開設者に相続・合併・分割(営業を承継させるもの)があったときは、営業を譲り受けた人、相続人、合併後の法人、分割で営業を承継した法人が、開設者の地位を承継します。承継した人は、「遅滞なく」、その事実を証する書面を添えて都道府県知事に届け出ます(第12条の2第2項)。
2 前項の規定により美容所の開設者の地位を承継した者は、遅滞なく、その事実を証する書面を添えて、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
承継の原因ごとの届出書の記載事項と添付書類は、施行規則が定めています。
| 承継の原因 | 届出書の記載事項 | 添付書類 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 相続 | 届出者の住所・氏名・生年月日と被相続人との続柄、被相続人の氏名・住所、相続開始の年月日、美容所の名称・所在地 | 戸籍謄本、または法定相続情報一覧図の写し。相続人が2人以上で、全員の同意により承継者に選ばれた場合は、その全員の同意書 | 施行規則第21条 |
| 合併 | 届出者の名称・主たる事務所の所在地・代表者の氏名、合併で消滅した法人の同じ3項目、合併の年月日、美容所の名称・所在地 | 合併後に存続する法人、または合併で設立された法人の登記事項証明書 | 施行規則第22条 |
| 分割 | 届出者の名称・主たる事務所の所在地・代表者の氏名、分割前の法人の同じ3項目、分割の年月日、美容所の名称・所在地 | 分割で営業を承継した法人の登記事項証明書 | 施行規則第22条の2 |
営業の譲渡(事業を売る・買う場合)は、第12条の2第1項に地位の承継が生じるとありますが、施行規則に譲渡専用の届出書の条はありません。譲渡の場合の届出書の様式と添付書類は、このページの一次資料では確認できていません。
条文では確認できなかった場面
| 場面 | 確認できたこと | 確認できていないこと |
|---|---|---|
| 一時的に休む(休止) | 美容師法の本則に、美容所の休止の届出を定めた条は見当たりません(e-Govで「休止」を検索すると、指定試験機関の休止の条だけが出ます) | 自治体が独自に休止の届出を求めているかどうか。所在地の保健所へご確認ください |
| 同じ町内・別の場所へ移る(移転) | 美容所の位置は第11条第1項の届出事項です。位置の変更は、第11条第2項の「届出事項に変更を生じたとき」に当たりうる事項です | 移転を変更の届出で済ませるのか、廃止と新規の開設の届出に分けるのか、移転先の構造設備の検査と確認(第12条)がどう扱われるのか。条文だけでは断定できません。管轄の保健所へ事前にご確認ください |
| 届出を忘れた場合の罰則 | 第11条第2項違反に当たる罰則は、このページでは確認していません | 罰則の一覧は罰則の対応表と条文別早見表にまとめています |
実務上のポイント
- 変更も廃止も承継も、届出先は「所在地の保健所(または都道府県)」です。窓口と様式は自治体ごとに違うため、手続きの前に電話や窓口で確認すると確実です。
- 従業者の入れ替えは、美容師の氏名・登録番号が開設時の届出事項に入っているため、変更の届出の対象になりえます。従業者本人の届出の考え方は美容所の開設者と従業者の届出の違いで扱っています。
- 個別の店の事情で、どの届出が要るかはこのサイトでは判断しません。所在地の保健所にご確認ください。
免許側の手続き(書換え、再交付、返納など)は免許と美容所の手続き一覧と免許証の返納・提出、開いたあとの義務は美容所の義務の早見表にあります。
一次情報: 美容師法(昭和32年法律第163号)第11条・第12条の2(e-Gov法令検索、2026-10-08取得)、美容師法施行規則(平成10年厚生省令第7号)第19条〜第22条の2(e-Gov法令検索、2026-10-08取得)。条文の引用は原文のとおりです。