一次情報: e-Gov法令検索「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」第18条・「同法施行規則」第11条・「美容師法」第3条(いずれも2026-10-08取得)、厚生労働省健康・生活衛生局長通知「「理容所及び美容所における衛生管理要領」等の一部改正について」(令和6年6月26日 健生発0626第6号、https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001403691.pdf)。確認日: 2026-10-08。
確認できた結論
- 感染症法第18条第2項は、就業制限の通知を受けた患者・無症状病原体保有者に、感染症ごとに省令で定める業務へ、定める期間は従事してはならないとしています。
- その省令(施行規則第11条第2項)は、業務を「他者の身体に直接接触する業務」「接客業その他の多数の者に接触する業務」「飲食物に直接接触する業務」の言葉で定めています。美容師や美容所を名指しした条文はありません。
- 衛生管理要領は、美容所の開設者に、結核・感染性の皮膚疾患にかかった従業者を作業に従事させないこと、感染症法で就業が制限される感染症にかかった従業者(またはその同居者)を業務に従事させないことを求めています。
- 美容師法第3条第2項が免許を与えないことがある場合として挙げるのは3つで、感染症は挙がっていません(欠格事由は免許の欠格事由)。
感染症法の就業制限(第18条)
都道府県知事は、一類感染症の患者、二類・三類感染症・新型インフルエンザ等感染症の患者または無症状病原体保有者について、まん延を防ぐため必要と認めるときに、その人へ書面で通知できます(第18条第1項)。通知を受けた人について、第2項は次のとおり定めています。
前項に規定する患者及び無症状病原体保有者は、当該者又はその保護者が同項の規定による通知を受けた場合には、感染症を公衆にまん延させるおそれがある業務として感染症ごとに厚生労働省令で定める業務に、そのおそれがなくなるまでの期間として感染症ごとに厚生労働省令で定める期間従事してはならない。
就業制限を受けた人は、制限の対象でなくなったことの確認を都道府県知事に求められ、知事は確認をしなければなりません(同条第3項・第4項)。つまり、就業制限は「感染症にかかった」だけで自動的にかかるものではなく、知事の通知を受けた人に生じる制限です。
制限される業務と期間(施行規則第11条)
第18条第2項の「厚生労働省令で定める業務」は、施行規則第11条第2項が感染症の区分ごとに定めています。
| 感染症の区分(条文の列挙) | 制限される業務 |
|---|---|
| エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、南米出血熱、マールブルグ病、ラッサ熱 | 飲食物に直接接触する業務、他者の身体に直接接触する業務 |
| 結核 | 接客業その他の多数の者に接触する業務 |
| ジフテリア、重症急性呼吸器症候群、新型インフルエンザ等感染症、中東呼吸器症候群、痘そう、特定鳥インフルエンザ、ペスト | 飲食物に直接接触する業務、接客業その他の多数の者に接触する業務 |
| 上記以外の感染症(法第6条第2項〜第4項に掲げるもの) | 飲食物に直接接触する業務 |
期間は、結核・重症急性呼吸器症候群・中東呼吸器症候群・特定鳥インフルエンザは「病原体を保有しなくなるまでの期間又はその症状が消失するまでの期間」、それ以外は「病原体を保有しなくなるまでの期間」です(同条第3項)。
美容の施術が「他者の身体に直接接触する業務」や「接客業その他の多数の者に接触する業務」に当たるかどうかは、条文に書かれていません。このページでは当てはめを行いません。感染症ごとに該当する業務が違うため、通知を受けた場合は通知書面と、管轄の保健所で確かめてください。
衛生管理要領の定め(第3の2・第4の1)
衛生管理要領は、美容所の開設者・管理美容師に向けた国の指導基準です。従業者の健康に関わる部分を原文のまま引用します。
| 箇所 | 原文 |
|---|---|
| 第3の2(1) | 開設者及び管理理容師又は管理美容師は、常に従業者の健康管理に注意し、従業者が以下に掲げる感染症にかかったときは、開設者はこの旨を保健所に届け出るとともに、当該従業者を作業に従事させないこととし、当該疾患が治癒した場合も同様に届け出ること。ア 結核 イ 感染性の皮膚疾患(伝染性膿痂疹(トビヒ)、単純性疱疹、頭部白癬(シラクモ)、疥癬等) |
| 第3の2(2) | 開設者は、従業者又はその同居者が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)により就業が制限される感染症にかかっている者又はその疑いのある者である場合は、当該感染症をまん延させるおそれがなくなるまでの期間業務に従事させないこと。 |
| 第4の1 | 管理理容師又は管理美容師は、毎日、従業者が感染症にかかっていないかどうかを確認すること。 |
第3の2(2)は令和6年6月26日の改正で、旧規定の特定の感染症の列挙(エボラ出血熱など6種)から、感染症法による就業制限の感染症へ改められました。新旧の対照は衛生管理要領の改正にあります。第3の2(1)と第4の1の業務は、条件を満たせばオンライン実施や兼任で行えます(第6の2)。この通知は国から自治体への技術的助言で、義務を負うのは条文上、開設者と管理美容師です。
このページで確認していないこと
- 個々の感染症(インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症など)にかかった美容師が、いつ・どの期間働けないか。感染症法の分類と運用は改正されることがあり、最新の扱いは厚生労働省と保健所の案内で確かめてください。
- 都道府県・保健所設置市の条例や指導要綱が、従業者の健康診断や届出を別に定めているか。
- 業務委託や面貸しで働く美容師に、開設者の義務がどう及ぶか(開設者と従業者の届出の違いに確認できた範囲があります)。
- 個別の人が就業できるかどうかの判断。
次に読むページ
- 衛生管理要領の新旧対照と、施術中に守る項目を確かめたいとき:衛生管理要領の令和6年改正
- 持病や処分歴で免許が取れないかを確かめたいとき:美容師免許の欠格事由
- 客1人ごとの器具の消毒方法を確かめたいとき:美容師の器具の消毒方法
- 衛生上の措置を怠ったときの処分を確かめたいとき:業務停止・免許取消の基準