結論:無料の寄付用カットも、免許が要る業に当たりうる
美容師法第6条は「美容師でなければ、美容を業としてはならない」と定めています。厚生労働省「美容師法の概要」は、次のように書いています。
美容師の免許を持たないものは美容を業として行うことはできない。なお、業とは反復継続の意思をもって行うことで、有料・無料は問わない。
出典: 厚生労働省「美容師法の概要」
同じ資料は、美容を「パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」とし、「美容師がカッティングを行うことは差し支えない」とも書いています。つまり、寄付用のカットだからという理由で免許が不要になる、という規定や通知は確認できていません。一方、ヘアドネーション用のカットだけを取り上げて免許の要否を述べた通知・自治体の見解も見つかっていません。1回だけ家族の髪を切る場合が「業」に当たるかどうかなど、個別の判断は管轄の保健所に確認してください。確認日は2026-10-12です。
免許前の人が練習台の髪を切る場合の整理はカットモデル・練習台への施術と無免許、無料の施術の扱いは同ページで確認できます。
確認できたこと:賛同する美容室・理髪店で切る流れ
ヘアドネーションは、小児がんなどで髪を失った子どもたちのために、寄付された髪でウィッグ(かつら)を作って無償で届ける活動です。船橋市の公式ページ「ヘアドネーション」は、流れを次のように書いています。
美容室や理髪店で切った髪の毛を、ヘアドネーション活動をしている法人・団体等に送るだけです。
出典: 船橋市「ヘアドネーション」
神戸市の公式ページ「ヘアドネーション(髪の毛の寄付)」も、「ヘアドネーションに賛同している美容室や理髪店で髪を切ります。(予約時に「ヘアドネーションがしたい」と必ずお伝えください)」と書いています。両市とも、カットの仕方や発送方法は法人・団体等によって指定があり、カットや発送の費用は原則として寄付する本人の負担、と説明しています。
埼玉県三芳町の「ヘアドネーション事業」は、町内の理容所・美容所を活動協力店舗として登録し、ヘアドネーションカットの実費(上限6,000円)を町が店舗へ補助する制度です。登録の対象は「三芳町内の理容所・美容所」、髪の基準は「長さ31cm以上・濡れていない等」で、カラーやパーマは寄付者の自己負担とされています。カット期限は令和9年3月31日です。
ウィッグ作りの工程は、船橋市・神戸市とも、寄付を受けた法人・団体等が髪を長さや色で振り分け、トリートメント処理をしてから作成する、と書いています。1つのウィッグには31センチ以上の髪が20人から30人分必要とされています。
美容師法第2条第1項は「美容」を「パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすることをいう」と定め、第6条は「美容師でなければ、美容を業としてはならない」と定めています。美容所と理容所の業務の違いは理容師と美容師の業務範囲で確認できます。確認日は2026-10-12です。
確認できていないこと
| 場面 | 確認できたこと | 確認できていないこと |
|---|---|---|
| 寄付用のカット(美容所・理容所) | 船橋市・神戸市が「美容室や理髪店で切る」と書く。三芳町が町内の理容所・美容所を協力店舗の対象とする | 寄付用のカットの免許の要否を直接述べた通知・自治体の見解 |
| 美容所以外での寄付用カット(自宅・イベント会場など) | なし | 船橋市・神戸市のページは美容室・理髪店での切断だけを案内している。それ以外の場所の扱いは見つかっていない |
| 団体による髪の仕分け・ウィッグの製作 | 工程の説明(船橋市・神戸市) | 製作や型取りに免許・美容所が要るかどうかの通知・見解 |
| 完成したウィッグのセット(子どもの希望の髪形に整える作業) | 「希望の髪形にセットされる」という説明(船橋市・神戸市) | 誰がセットするか、免許が要るか |
実務上のポイント
- 免許を持たない人が、寄付用に他人の髪を反復継続して切ると、無料でも無免許営業(第6条)に当たりうるため、賛同店で免許を持つ美容師・理容師が切る流れが自治体の案内と合います。免許前の人の作業範囲は無免許アシスタントの作業範囲で確認できます。
- 寄付先の団体ごとに、カットの仕方(結ぶ位置、長さ、乾いた状態など)の指定があります。店側は予約時に、どの団体へ送るかを聞いておく必要があります。
- 三芳町のように補助事業がある自治体では、美容所・理容所が登録申請をする必要があります。対象の自治体は各自治体の公式ページで確認してください。
- 美容所の外で無償で髪を切る場面は、避難所でのボランティアにもあります。美容所以外での施術と出張の例外の扱いは災害時の避難所での理美容ボランティアと美容師法で整理しています。
- ウィッグ作りなど、確認できていない場面を「免許は不要」と読み替えず、管轄の保健所へご確認ください。自分の施術が当たるかどうかの判断は、本サイトでは行いません。完成したウィッグを購入する側の助成制度は医療用ウィッグ購入助成のカット費用と美容室の確認点で扱っています。
- つけ毛・ウィッグの取付けの扱いはつけ毛(ヘアエクステンション)の施術と美容師免許の要否にまとめています。
よくある質問
ヘアドネーション用のカットに美容師免許は必要ですか?
美容師法第6条は「美容師でなければ、美容を業としてはならない」と定め、厚生労働省の美容師法の概要は、業とは反復継続の意思をもって行うことで有料・無料は問わないと書いています。寄付が無料でも、反復継続の意思で他人の髪を切って美容を行えば、免許が要る業に当たる可能性があります。ただし、寄付用のカットだけを取り上げて免許の要否を述べた通知・自治体の見解は見つかっていません。個別の場合は管轄の保健所に確認してください。
ヘアドネーションのカットは、どこで受ければよいですか?
船橋市と神戸市の公式ページは、ヘアドネーションに賛同している美容室や理髪店で髪を切る流れを案内しています。神戸市は、予約時に「ヘアドネーションがしたい」と伝えるよう書いています。カットの仕方や発送方法は法人・団体等によって指定があります。
ヘアドネーションのカット費用は自治体が補助してくれますか?
埼玉県三芳町は、町内の理容所・美容所を活動協力店舗として登録し、ヘアドネーションカットの実費(上限6,000円)を店舗へ補助しています。髪の基準は長さ31cm以上・濡れていない等、カット期限は令和9年3月31日で、カラーやパーマは寄付者の自己負担です。他の自治体の制度は今回確認していません。
自宅やイベント会場でヘアドネーション用に髪を切ってよいですか?
船橋市・神戸市のページは美容室・理髪店での切断だけを案内しており、それ以外の場所での扱いは確認できていません。確認できていないことを「免許は不要」と読み替えず、管轄の保健所に確認してください。
参照した公式資料
- 船橋市「ヘアドネーション」
- 神戸市「ヘアドネーション(髪の毛の寄付)」
- 三芳町「ヘアドネーション事業 活動協力店舗募集チラシ」
- 厚生労働省「美容師法の概要」
- 美容師法(e-Gov法令検索)第2条・第6条
確認日2026-10-12。
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