結論:自由参加の練習は労働時間に当たらず、指示や事実上の強制があれば当たる

確認日は2026-10-14です。厚生労働省の資料で確かめられたことは次の4点です。

美容師法・施行規則には、練習時間の扱いを定めた条文はありません。このページの内容は、美容業に限らず適用される労働時間の考え方です。カットモデルへの施術と免許の関係は別の論点で、カットモデル・練習台への施術と無免許で整理しています。

労働時間の考え方(労働時間適正把握ガイドライン「3 労働時間の考え方」)

項目ガイドラインの記載
労働時間の定義「労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる。」
準備行為・後始末(ア)使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替え等)や業務終了後の業務に関連した後始末(清掃等)を事業場内において行った時間
手待時間(イ)使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間
研修・教育訓練(ウ)参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間
契約や就業規則との関係労働時間に該当するか否かは、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんによらず、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まる

厚生労働省リーフレット(令和8年6月)の研修・練習の事例

区分事例(業種)
労働時間に該当しないと考えられる始業時刻前または終業時刻後に、会社が練習の場所や道具を貸し出しているが、練習を行うかどうかや練習内容は労働者に委ねられ、使用者は練習の実施状況や内容について特に確認等を行っていない(美容室、建設業)
労働時間に該当しないと考えられる営業時間外にキッチンなどを無償で使用するのに管理者の許可は必要とするが、労働者が自ら先輩に指導を依頼し、自発的に技術習得に向けた練習を行っていた(飲食店)
労働時間に該当すると考えられる自由参加のサークル活動として位置づけられた勉強会だが、使用者があらかじめ参加者、日時、場所を決定し、参加後にレポートの提出を求め、遅刻や欠席に対して指導が行われていた(学習塾)
労働時間に該当すると考えられる形式上は自由参加の研修だが、受講が正社員になるための要件とされ、参加できるよう使用者がシフトを調整していた(小売業)

リーフレットは、研修・教育訓練への不参加について就業規則で減給処分の対象とされていたり、不参加によって業務を行うことができなかったりするなど、事実上参加を強制されている場合は、研修・教育訓練であっても労働時間に該当するとしています。また、訓練や練習について明示的な指示がなくても、実質的に指示があったとして労働時間に該当すると判断されるケースもある、と注意書きがあります。

確認できたことと、できていないこと

論点状態根拠
使用者の指示のない自由参加の練習は労働時間に該当しない確認できた厚生労働省リーフレット(令和8年6月)
事実上の強制や実質的な指示がある練習は労働時間に該当する確認できた同リーフレット、ガイドライン3
美容室を挙げた事例確認できた(上の表の1件)同リーフレット
カット・カラー・ウィッグ練習ごとの扱い、練習の回数や時間の目安未確認(国の資料なし)確認した資料に、施術の種類別の記載はない
練習のための材料(ウィッグ・薬剤)の費用負担未確認今回確認した資料の対象外
個別の練習が労働時間に当たるか判断しない指示の有無や強制の実態から個別に判断されるため。労働基準監督署や都道府県労働局に相談できる、とリーフレットにある

参照した公式資料

確認日2026-10-14。ガイドラインは公式PDFの「3 労働時間の考え方」を原文で確認。リーフレットはPDFを原文で確認し、美容室の事例の文言は表の記載のとおり。リーフレット中の事例は、裁判例等に基づく紹介であり、個別の事案の結論を示すものではありません。

よくある質問

営業時間外にサロンで行う練習は、労働時間になりますか?

厚生労働省のリーフレットは、業務上義務づけられていない自由参加の研修・教育訓練の時間は労働時間に該当しないとし、該当しないと考えられる事例に、始業前または終業後に会社が練習の場所や道具を貸し出していても、練習を行うかどうかや内容が労働者に委ねられ、使用者が実施状況や内容を確認していない美容室の事例を挙げています。一方、事実上参加を強制されている場合は労働時間に該当します。個別の練習がどちらかは、このページでは判断しません。

先輩や店長に「練習しておいて」と言われた練習は労働時間ですか?

労働時間適正把握ガイドラインは、使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たるとし、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間も労働時間として扱うものに挙げています。リーフレットも、明示的な指示がなくても実質的に指示があったとして労働時間に該当すると判断されるケースがあるとしています。

就業規則や契約に「練習は労働時間に含めない」と書いてあればそのとおりになりますか?

ガイドラインは、労働時間に該当するか否かは、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんによらず、客観的に定まると書いています。

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