結論:毛染め剤による皮膚障害は労働災害の事例に挙がっている

厚生労働省東京労働局のリーフレット「理容業・美容業のみなさま ヘアカラー等に含まれる化学物質を確認しましょう」(確認日2026-10-11)から、原文で確かめられた点は次の3つです。

労災の申請手順や認定の判断、ヘアカラー作業に伴う健康診断の要否は、確認したリーフレットには書かれていません。個別のケースが労災に当たるかは、本サイトでは判断しません。

原文が挙げる労働災害の事例

事例(リーフレットの記載)業種・休業の見込み
洗い物や薬剤等で重度の手荒れから身体、顔等に皮膚炎がみられ、睡眠等にも支障をきたす状況になった美容業、休業見込6か月
髪の染色のための毛染め剤を使用していたところ、手荒れが酷くなり、ひび割れや膿が出てしまう等、症状も悪化したため休業することとなった美容業、休業見込2か月

同じリーフレットの別の面(接客娯楽業・商業向け)には、令和2年~令和6年の休業4日以上の労働災害として、美容院で使用する毛染め剤等に眼の損傷や皮膚障害を起こす化学物質が含まれている場合があると書かれています。

ヘアカラー作業で事業者が講じる対策(リーフレットの記載)

対策リーフレットの書きぶり(要約)
換気蒸気の発散源によるばく露の危険性を下げるため、全体換気装置等を設置する
教育化学物質の危険有害性、保護具の使用方法等に係る安全衛生教育を行う
保護具不浸透性の保護衣、保護手袋、履物、保護眼鏡等の適切な保護具を着用させる
成分の把握製品のラベル表示やSDS(安全データシート)を確認し、使用する化学物質を網羅的に把握する。SDSが無いときは提供元に求める
管理者の選任・リスクアセスメントリスクアセスメント対象物を取り扱う事業場では化学物質管理者を選任し、リスクアセスメントを実施する。保護具を使用させる場合は保護具着用管理責任者を選任する

リーフレットは、これらを事業者(雇う側)が講じる対策として書いています。どの対策がどの美容所に義務として当たるかは、取り扱う製品や事業場の状況で変わるため、本サイトでは判断しません。

整理:確認できたことと、確認できていないこと

論点確認できたこと確認できていないこと
原因となる物質アンモニア、レソルシノールなどが皮膚・眼への炎症のおそれとして挙げられている個々の製品での含有や、個人の症状との因果関係
労働災害の事例美容業で休業見込6か月・2か月の事例がある労災保険の申請手順、認定の判断
健康診断ネイル作業の有機溶剤に関する有機溶剤健康診断の実施が書かれているヘアカラー作業に伴う健康診断の要否
面貸し・業務委託の美容師(このリーフレットでは扱われていない)労災保険の対象になるかは労働者に当たるかによる。判断要素は面貸し・業務委託の美容師の労働者性で確認できる

仕事を休むときの傷病手当金と労災の休業補償給付

手荒れや皮膚炎で休むとき、公的な給付は原因が業務上か業務外かで分かれます。条文と全国健康保険協会(協会けんぽ)のページで確認できた範囲を整理します。ある症状がどちらに当たるかは、このページでは判断しません。

傷病手当金(健康保険)と休業補償給付(労災保険)の確認できた内容
項目傷病手当金(健康保険)休業補償給付(労災保険)
対象になる休業業務外の事由による病気やケガの療養のための休業。業務上・通勤災害(労災保険の給付対象)は対象外(協会けんぽ)業務上の負傷又は疾病による療養のため労働できず、賃金を受けない日(労災保険法 第14条)
支給が始まる日休んだ日から連続して3日間(待期)の後、4日目以降(協会けんぽ。健康保険法 第99条第1項)賃金を受けない日の第4日目から(労災保険法 第14条第1項)
1日あたりの額直近12か月の標準報酬月額の平均の30分の1の3分の2の額が目安。協会けんぽの計算例では17万円の平均で3,780円給付基礎日額の60%(労災保険法 第14条第1項)
支給期間支給を開始した日から通算して1年6か月(健康保険法 第99条第4項)この表では確認できていない
申請先加入している協会けんぽの支部(申請書:健康保険傷病手当金支給申請書)所轄の労働基準監督署(請求手続は厚生労働省の「休業(補償)等給付・傷病(補償)等年金の請求手続」で案内)
給与が出ているとき給与が支払われている間は支給されない。給与が傷病手当金の額より少ないときは差額が支給される(協会けんぽ)この表では確認できていない

条文:労働者災害補償保険法 第14条、健康保険法 第55条・第99条(労災保険法・健康保険法、e-Gov法令検索、2026-10-14に条文取得)。協会けんぽ「傷病手当金」(2026-10-14に本文を確認)。厚生労働省「休業(補償)等給付・傷病(補償)等年金の請求手続」(2026-10-14に確認)。

実務上のポイント

よくある質問

美容師の手荒れは労働災害として扱われますか?

東京労働局のリーフレットは、美容業の労働災害事例として、洗い物や薬剤等による重度の手荒れから皮膚炎が出た例(休業見込6か月)と、毛染め剤の使用で手荒れが悪化し休業した例(休業見込2か月)を載せています。個別のケースが労災に当たるかの判断や申請の手順は、このリーフレットには書かれておらず、所轄の労働基準監督署に確かめる必要があります。

ヘアカラー剤のどの成分が皮膚や眼に影響するとされていますか?

リーフレットは、カラー剤やブリーチ剤に脱色のためのアンモニア(特定化学物質第3類物質)や防腐のためのレソルシノール(皮膚等障害化学物質)等が含まれ、皮膚又は眼への接触による炎症等を発症するおそれがあると書いています。

事業者はどんな対策を講じることになっていますか?

リーフレットは、ヘアカラー作業について、全体換気装置等による換気、化学物質の危険有害性や保護具の使用方法等の安全衛生教育、不浸透性の保護衣・保護手袋・履物・保護眼鏡等の保護具の着用を挙げています。使用する化学物質のラベル表示やSDS(安全データシート)で成分を把握することも求めています。

ヘアカラー作業をする従業員に健康診断は必要ですか?

リーフレットで健康診断として書かれているのは、ネイル作業で扱う有機溶剤に関する有機溶剤健康診断の実施です。ヘアカラー作業について健康診断の要否は、確認したリーフレットには書かれておらず未確認です。

参照した公式資料

確認日2026-10-11。リーフレットに発行日の記載は確認できませんでした。

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