結論:免許は場所を問わず前提。美容所の外で施術できる場面は、条文で限られる
美容師法第6条は、美容師でなければ美容を業としてはならないと定めています。ヘアセットと化粧は、第2条第1項が「美容」の方法として例示している結髪と化粧にあたります。この条文には施術する場所の限定がないため、撮影スタジオ、舞台の楽屋、イベント会場でも、仕事として行うなら条文上は美容師免許が前提になります。
美容所(美容室)の外で施術できるかは、別の条文です。第7条は美容所以外での営業を原則禁止し、政令で定める特別の事情だけを例外としています。現場の種類ごとに、確認できた範囲を下の表に分けました。
条文に書かれていること
| 条 | 条文の内容 |
|---|---|
| 美容師法第2条第1項 | 「美容」とは、パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすることをいう。 |
| 美容師法第6条 | 美容師でなければ、美容を業としてはならない。 |
| 美容師法第7条 | 美容師は、美容所以外の場所において、美容の業をしてはならない。ただし、政令で定める特別の事情がある場合には、この限りでない。 |
| 美容師法施行令第4条 | 第1号は疾病その他の理由で美容所に来ることができない者への美容、第2号は婚礼その他の儀式に参列する者への儀式の直前の美容、第3号は都道府県等が条例で定める場合。 |
演劇、演芸、テレビに出演する者等に対して、その出演の直前に施術を行うことが必要と認められるもの
出典: 厚生労働省 健生衛発0326第1号(出張理容・出張美容の対象等について)
上の引用は、令和8年3月26日の通知改正で、施行令第4条第2号に当たる例として新しく書き加えられた文言です(改正の経緯は出張・訪問美容の対象範囲で確認できます)。
現場ごとの整理
| 場面 | 条文・通知から言えること | 状態 |
|---|---|---|
| 舞台・演芸の出演者への、出演直前の施術 | 施行令第4条第2号の該当例として通知に明記。施術者には美容師免許が前提 | 確認できた |
| テレビ出演者への、出演直前の施術 | 同じく通知に明記 | 確認できた |
| 写真・動画・広告の撮影現場での施術 | 出演直前の施術として扱われるかを述べた通知は確認できていない | 未確認 |
| 単発で営利目的ではないイベントでのヘアセット | 知事等が個別に認めるときの内規として、対象にしている自治体がある。自治体ごとに内容が異なる | 自治体により異なる |
| イベント会場や物販店での商用の出店 | 任意の商用出店を一律に認める規定は確認できていない | 未確認 |
| 美容師免許を持たない人が行うヘアメイク | 第6条の対象になりうる。個別の施術が当たるかは断定しない | 条文のみ確認 |
「出演の直前」が何時間前までを指すかは、条文にも通知にも数字では書かれていません。本サイトでは時間の目安を示しません。
結婚式の直前の施術も、同じ号に当たる別の例です。条文と未確認点はブライダルヘアメイクと美容師免許のページにまとめています。
記念撮影だけのヘアメイクは「儀式の直前」に入るか(2017年の回答)
撮影現場の扱いを考える手がかりとして、2017年8月15日に公表された産業競争力強化法の「グレーゾーン解消制度」の回答があります。事業者が、挙式をせず記念写真だけを撮るフォトウェディングのヘアメイクを美容所の外で行うことが、施行令第4条第2号の「婚礼その他の儀式に参列する者に対してその儀式の直前に美容を行う場合」に含まれるかを照会しました。関係省庁は、この事業の主な目的は記念として写真を撮ることだと考えられるため、同号の「婚礼その他の儀式」に含まれないと解する、と回答しています。
同じ回答で、式の2週間ほど前のリハーサルヘアメイクも、通常は時間的な制約があるとは言えず、リハーサルは社会通念上の儀式とも言えないため、同号の特例に含まれないとされました。
この回答が答えたのはフォトウェディングとリハーサルの2つです。広告・動画・雑誌などの撮影現場が令和8年の通知にある「出演の直前」に当たるかは、この回答からは分からず、上の表のとおり未確認のままです。撮影のために美容所の外で施術するときは、実施する自治体の保健所に事前に確認してください。
参照した公式資料
- 美容師法(e-Gov法令検索)第2条・第6条・第7条
- 美容師法施行令(e-Gov法令検索)第4条
- 厚生労働省 健生衛発0326第1号(出張理容・出張美容の対象等について)
- 厚生労働省 健生衛発0326第2号(条例等の制定状況等について)
- 群馬県掲載の経済産業省発表(平成29年8月15日、フォトウェディング等のヘアメイクと美容師法の取扱い)
個別のケースが対象になるかどうかは、このページでは断定しません。表の条文(美容師法第2条・第6条・第7条、施行令第4条)は2026-10-10にe-Govの原文と再照合しました。最終確認日: 2026-10-10。
よくある質問
撮影スタジオや現場に呼ばれてヘアメイクをするとき、美容師免許は必要ですか?
美容師法第6条は、美容師でなければ美容を業としてはならないと定めています。結髪と化粧は第2条第1項に例示された方法です。施術する場所が撮影スタジオでも同じ条文が前提になります。個別の事例が当たるかどうかは、本サイトでは判断しません。
舞台やテレビ出演の直前なら、美容所の外で施術してよいですか?
美容師法第7条は美容所以外での営業を原則禁止しています。令和8年3月26日の通知改正で、演劇、演芸、テレビに出演する者等に対して、その出演の直前に施術を行うことが必要と認められるものが、施行令第4条第2号に該当する例として明記されました。
写真・動画・広告の撮影現場でのヘアメイクも同じ扱いですか?
出演の直前の施術として写真や広告の撮影現場が含まれるかを述べた通知は、確認できていません。所管の保健所に確認してください。
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