結論:育毛・スカルプケアを名指しした通知は確認できていない

医師免許のない人が行ってはいけない行為として国が示した通知(平成13年医政医発第105号)には、育毛やスカルプケア(頭皮の手入れ)は出てきません(確認日2026-10-09)。育毛・スカルプケアについて「美容師免許で行える」「医行為に当たる」と述べた国の通知や公式見解も、確認できていません。

「医行為」は、医師だけができる医療行為のことです。ここでは、通知が名指しした3つの行為と、育毛・スカルプケアで行われる施術を並べ、確認できた範囲と未確認の点を分けて示します。

通知が医師法17条違反としている行為

この通知は、医師免許を持たない人が業として行うと医師法第17条に違反する行為として、次の3つを挙げています。医師法第17条は「医師でなければ、医業をなしてはならない」と定めています。

通知が挙げる行為育毛・スカルプケアとの関係
レーザー光線などの強力なエネルギーの光線を毛根部分に照射し、毛乳頭や皮脂腺開口部などを破壊する行為(機器が医療用かどうかを問わない)育毛・スカルプケアの施術は、通知の文言上は名指しされていません。
針先に色素を付けて、皮膚の表面に墨などの色素を入れる行為名指しされていません。
酸などの化学薬品を皮膚に塗布して、しわ、しみなどに対して表皮剥離を行う行為名指しされていません。頭皮に薬剤を塗る施術が、これに当たるかどうかは通知から読み取れません。

通知は、この3つを「医師が行うのでなければ保健衛生上危害の生ずるおそれのある行為」としています。この3つ以外の行為がどうなるかは述べていません。「名指しされていないから行ってよい」とも「行ってはならない」とも、この通知からは言えません。

美容師法・医師法の条文

条条文の内容
美容師法第2条第1項「美容」とは、パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすることをいう。
美容師法第6条美容師でなければ、美容を業としてはならない。
医師法第17条医師でなければ、医業をなしてはならない。
医師法第31条第1項第1号第17条に違反した者は、3年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

育毛や頭皮ケアの施術が「容姿を美しくすること」に当たるかどうかは、条文から確定できません。頭皮のマッサージについては、ヘッドスパと美容師免許のページに条文を整理しています。

確認できたことと、できていないこと

論点状態根拠
光線による毛根の破壊、色素を入れる行為、酸による表皮剥離は、医師が行うのでなければ医師法17条違反確認できた平成13年11月8日 医政医発第105号
医師免許なしに医業をした場合の罰則の上限確認できた医師法第31条第1項第1号
育毛・スカルプケアの個別の施術が医行為に当たるか未確認(名指しした通知なし)通知の本文で確認を試みたが、記述が見つからない
増毛(自毛に人工毛・人毛を結びつけるなど毛髪を付ける施術)が美容に当たるか、医行為に当たるか未確認(名指しした通知なし)厚生労働省の「美容師法・理容師法」概要ページと検索で確認を試みた(2026-10-12)が、増毛の記述が見つからない
植毛(毛髪を毛根ごと皮膚に移す手術)と、増毛・育毛ケアの境目未確認(名指しした通知なし)平成13年医政医発第105号、令和6年医政医発0607第1号、令和7年医政発0815第21号の本文に「植毛」「増毛」の語はありません(確認日2026-10-17)。植毛を名指しして医行為かどうかを示した通知・回答は確認できていません。本サイトは可否を断定せず、迷うときは保健所に確認する方法があります
育毛剤など薬剤の扱い(薬機法)未確認(本ページでは調べていない)-

提供するメニューが医行為に当たるか迷うときは、所管の保健所に確認する方法があります。

参照した公式資料

確認日2026-10-09。

よくある質問

美容師が育毛・スカルプケアの施術をしても、医師法違反になりませんか?

医師法第17条違反とされた通知上の行為は、光線による毛根の破壊、色素を入れる行為、酸による表皮剥離の3つです。育毛・スカルプケアは名指しされていませんが、国が問題ないと述べた資料も確認できていないため、本サイトは断定しません。

医師免許なしで医行為をするとどうなりますか?

医師法第31条第1項第1号により、第17条に違反した者は3年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとされています。

頭皮マッサージを美容室で行うのに美容師免許は要りますか?

ヘッドスパと美容師免許のページに、美容師法とあはき法の条文を整理しています。名指しした通知は確認できていません。

次に読むページ