参照した公式資料

従業者の氏名は、開設の届出事項に入っている

美容所を開くとき、開設者は届出をします。美容師法第11条第1項は、届出に書く事項として「美容所の位置、構造設備、第十二条の三第一項に規定する管理美容師その他の従業者の氏名その他必要な事項」を挙げています。施行規則第19条第1項第5号は、これを「美容師の氏名及び登録番号並びにその他の従業者の氏名」と書いています。

第十一条 (略)2 美容所の開設者は、前項の規定による届出事項に変更を生じたとき、又はその美容所を廃止したときは、すみやかに都道府県知事に届け出なければならない。

出典: 美容師法(e-Gov法令検索)第11条

つまり、美容師が増える・入れ替わるといった変更は、開設時の届出事項(従業者の氏名)の変更にあたりえます。届け出るのは美容所の開設者で、従業者本人ではありません。

入職・異動・退職の場面ごとの確かめ方

場面条文から確認できること条文で確認できないこと
美容師が入職する変更の届出を、すみやかに出す(法第11条第2項)。美容師の新たな使用に係る届出には、伝染性疾病の有無に関する医師の診断書を添える(施行規則第20条)「すみやかに」が何日以内か(日数の定めは、条文の本文では確認できていません)
他の美容所へ移る(異動)移る先の美容所では、新たに使う美容師として上の届出が必要になりえる。元の美容所では従業者の変更になりえる異動を名指しした規定。扱いは、それぞれの美容所の保健所に確かめる
辞める(退職)従業者の氏名が届出事項なので、変更の届出の対象になりえる退職を名指しした規定。届出が不要とされる場合の有無

施行規則第20条は、変更の届出の出し方も定めています。届出書を、美容所の所在地の都道府県知事、保健所を設置する市の市長または特別区の区長に提出します。提出先は、美容所のある地域の保健所の案内で確かめてください。様式や添付書類の細かな扱いは自治体ごとの案内に書かれることがあるため、このページでは例示も載せません。

管理美容師は「美容所ごとに」置く

美容師が常時2人以上いる美容所には管理美容師を置きます。法第12条の3第1項は次のように書いています。

第十二条の三 美容師である従業者の数が常時二人以上である美容所の開設者は、当該美容所(当該美容所における美容の業務を含む。)を衛生的に管理させるため、美容所ごとに、管理者(以下「管理美容師」という。)を置かなければならない。ただし、美容所の開設者が第二項の規定により管理美容師となることができる者であるときは、その者が自ら主として管理する一の美容所について管理美容師となることを妨げない。

出典: 美容師法(e-Gov法令検索)第12条の3第1項

読み取れるのは次の3点です。

管理美容師を新たに置く・替えるときは、施行規則第20条により、新たに管理美容師となる人が法第12条の3第2項(免許後3年以上の実務と指定講習会の修了)に当たることを証する書類を、変更の届出に添えます。なれる人の要件は管理美容師の資格要件・講習会で扱っています。

副業・兼業で他の美容所でも働けるか

美容師法の本文で「従業者」の語を含む条は、第11条(届出)、第12条の3(管理者)、第19条(両罰規定)の3条です(e-Gov法令検索で2026-10-12に確認)。美容師が他の美容所でも働くことを禁じる条文は、この3条のなかにはありません。

ただし、副業や兼業をしてよいかどうかは、美容師法ではなく、勤め先との雇用契約や就業規則の問題です。契約で副業が制限されていることもあります。免許の面では、働く美容所ごとに従業者としての届出が必要になりえる点だけ押さえてください。個別の働き方が届出上どう扱われるかは、各美容所の保健所に確かめてください。

添える診断書は、労働安全衛生法の健康診断で代えられるか

総務省は、理容所・美容所の開設届と変更届に添える医師の診断書について、事業者の負担を調べています(総務省の行政相談に基づくあっせん事例3-②「理容師及び美容師の結核等に関する医師の診断書」。総務省PDF、2026-10-13に原文を確認)。事例では、診断書が求める皮膚疾患・結核の有無と、労働安全衛生法の健康診断の項目(自覚症状・他覚症状の検査、胸部エックス線検査)に共通する部分があるとして整理されています。

そのうえで総務省は、厚生労働省に対し、労働安全衛生法に基づく健康診断の結果が理容師法・美容師法の求める要件を満たす場合は、その結果に代えられることを都道府県等に周知する必要がある、という改善の方向を示しています。つまり、この資料の時点では、代えられると明記された周知はまだ必要とされていた段階です。

この周知を実際に出した厚生労働省の通知は、今回の確認では見つかっていません。このため、手元の健康診断の結果を診断書の代わりに出せるかは、美容所のある保健所の取扱いによります。提出前に、健康診断の結果の写しで足りるか、診断書の様式や有効期間の指定があるかを保健所に確かめてください。

押さえておくこと

確認できていないこと

条文は、e-Gov法令検索の美容師法(昭和32年法律第163号)と美容師法施行規則(平成10年厚生省令第7号)を、2026-10-12に取得して確認しました(確認日2026-10-12)。

よくある質問

美容師が入職したとき、美容所は何か届け出ますか?

美容師法第11条第2項は、開設時の届出事項に変更を生じたときは、すみやかに都道府県知事に届け出ることを求めています。施行規則第19条第1項第5号は、開設時の届出事項に「美容師の氏名及び登録番号並びにその他の従業者の氏名」を挙げています。施行規則第20条は、変更の届出が美容師の新たな使用に係るものであるときは、その者の伝染性疾病の有無に関する医師の診断書を添えるとしています。届出が要る範囲の細部は、美容所のある保健所に確かめてください。

美容師が辞めたときも届出が要りますか?

条文は「届出事項に変更を生じたとき」とだけ書き、退職を名指しした規定は、美容師法と施行規則の本文では確認できていません。従業者の氏名が開設時の届出事項に入っている以上、変更の届出の対象になりえますが、扱いは自治体で異なる可能性があるため、保健所にご確認ください。

管理美容師は、2つの美容所を兼ねられますか?

美容師法第12条の3第1項は、管理美容師を「美容所ごとに」置くと書いています。ただし書は、開設者が管理美容師になれる人であるときに、自ら主として管理する「一の美容所」について管理美容師になることを妨げない、と定めます。複数の美容所で管理美容師を兼ねられるかを直接定めた文言は、本文では確認できていません。兼ねたい場合は、届出先の保健所に確かめてください。

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